【読書】『破天荒フェニックス』を読んで-分厚い本なのに僕が読み続けてしまった理由-

破天荒フェニックス

こんにちは。七転び八起きです。今日のご紹介はちょっと前の本になるけれど『破天荒フェニックス』です。このブログでもフェニックスのように、今さら感があるかも知れないけどもどうしても取り上げたい。なんせこの『破天荒フェニックス』は500ページ近くになる分厚い本なのだけど、魅力がたっぷり詰まっていて面白すぎて、読んでいると夢中になって止まらなくなる。500ページが苦にならない本なんてそんなに多くないと思う。

じゃあ、なんで面白いと思ったんだろう?と自問するとそれは企業に勤めた経験が『破天荒フェニックス』のオンデーズ再生物語とどこか重なったり、感情移入できるところがあったからだというのが僕の答え。では行ってみましょう。

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『破天荒フェニックス』とは

メガネチェーンのオンデーズを新社長の田中修治さんが幾多の苦難を乗り越えて、仲間達と再生させる物語。苦難に次ぐ苦難、その中で見えるそれぞれのメンバーの熱い想いが読者を魅了する実話をもとにした小説。本の帯にはホリエモンや西野亮廣も推薦文を出している。

『破天荒フェニックス』にハマった3つの理由

僕が『破天荒フェニックス』を読んで、何故、こんなに魅了されたか?それは繰り返しになるけれども『破天荒フェニックス』に描かれているストーリーが自分の経験と重なって感情移入したからに尽きる。そしてそれは業績が急激に伸びている企業で勤めたときに感じた、ワクワクとか、やってやるぞというやる気になるようものだ。

その場にはいないのに、その場に一緒にいるような感覚になるぐらい読んでいてオンデーズに入っていってしまう。それは実話をもとにしたストーリーだからとも言えるんだろう。特に『破天荒フェニックス』は業績を伸ばしている企業で起きている3つのことをうまく表現している。それで僕は魅了されたんだと思う。その3つとは何だろう?

企業が伸びるときのお祭りのようなエネルギーが表現されている

『破天荒フェニックス』を読んで感じたことの1つ目は経営者の事業に対する情熱と、チームが一種の「お祭り」みたいな熱気に包まれながらピンチを乗り越え成長していく独特の空気感がとてもよく表現されていることだ。その「お祭り」のような空気感は僕は何回か味わったことのあるもので本書ではそれを読んでいて感じ、いつの間にか胸が熱くなってくる。

会社が大きく成長しているときって勢いがあって、その中にいると「お祭り」のようにも感じる。ワーッと盛り上がって行く雰囲気と多くのメンバーがその祭りの中で下手とか関係なく力を出して踊る。カッコ良く踊るとか、綺麗に踊るというような事とは違う。洗練されていないが一生懸命、不器用だが全力、そんな姿を見てバカと思う人もいるだろうけど、こういうときにこそ爆発的なエネルギーが会社の中にできて上へ上へと押し上げていく。

『破天荒フェニックス』ではこの「お祭り」のような雰囲気が要所要所で出てきて、反対勢力もありながらも社長を含めた前に進むメンバー達が前に進んで行くエネルギーが会社を変えていく、周りを巻き込んでいく。

稲盛和夫さんが言う「自燃性」の人が思いっきり燃えて、周りの「可燃性」の人達にどんどん火が付いていくイメージとも言えるかもしれない。こういう時にその企業の中にいるととっても大変で疲れるのだけど、その疲れは心地よいものであることが多くて不思議と疲れながらも前に進むエネルギーは持ち続けるんだよなぁ~と、懐かしく思ったりした。そんな「お祭り」のような空気を小さな規模でも経験したことがある人ならきっと『破天荒フェニックス』の燃えたエネルギーを感じる事が出来ると思うし、感情移入すると思う。

企業が伸びるときの中の人が成長する物語が表現されている

そして2つ目は企業が伸びるときは中の人も成長するってことがよくでていること。そしてそれぞれのメンバーにストーリーを感じること。当たり前のことだけど、停滞したり、縮小している企業に比べて成長している企業はその中の人も成長しやすい。他の組織に比べて特別に優れたメンバーが集まっていなくても、凡人が成長して組織を大きくし、大きくなった組織の器に合う人に成長していく。それをストーリーの中にうまく表現されているので、個々のメンバーにも思い入れが出てしまうのが『破天荒フェニックス』の面白さ。

結局、ベンチャーみたいなところは特にそうだけど大企業のように仕事を分業する仕組みなんて無いし、ルーティンなんかごくわずかで次から次へと新しい事をこなして行きながら新たなルーティン、ルールを作っていくようなことが多い。そうなると今いるメンバーは最初から仕事が出来るのではなくて、ただやる気があって、新しい仕事にもチャレンジしているうちにどんどんできるようになっていく。前述のエネルギーのようなものがあることで人が化けていく。そんなメンバーの成長物語でもあるのが『破天荒フェニックス』。

企業が伸びるときの反対と賛成の勢力が表現されている

3つ目は反対勢力と賛成の勢力が出てくることがうまく表現されていること。企業が勢いよく伸びているとその勢いにあやかろうとする人が出てくる。だけどそういう人たちは本音では快く思っていない。新しいやり方、斬新な手法と言えば聞こえはいいけれど、取引先からすると破天荒、無茶、無理難題のように思われていたりする。それでも伸びているもんだから、伸びているところとの取引はみすみす切れないし、特に担当レベルでは不満があっても表面上は従う、付いていく形になっている。

ただ、こういう表面だけの関係性はある日、突然降りかかってくるピンチのときにハッキリするもので、ピンチがきたからちょっと助けてよとお願いをしても渋られ、断られることで化けの皮が剥がれることになる。大抵は調子悪くなったときにはさーっと引いて行ってしまう。こういう人たちは伸びている新参者企業がとっている手法に目が奪われて、ビジョンやパッションに共感しているわけではないのだと思う。要するにどこかで認められないものがあってもともとは気に食わなかったのだろうと思う。

それに対してピンチのときには強烈な味方も出てくる。伸びている企業の表から見える手法だけでなく、よく聞いたり考えないと見えてこないビジョンや目指しているところ、それを実現するために注がれるパッションなどに共感してくれる人だ。『破天荒フェニックス』でもオンデーズが持つ勢いにあやかろうとしつつも「ピンチと聞くと去って行く者」とピンチという現象とは別の企業が持っている「ビジョンと可能性に賛同し、協力してくれる者」がよく描かれている。

伸びていくときは本当にこんな感じだとと思う。

下町ロケットやプロジェクトXなどが好きな人には特におすすめ

3つの理由をとりあげたけど、本書を読んで、僕が『破天荒フェニックス』にはまった理由は細かい事をあげるとまだまだ沢山ある。とにかくこのオンデーズ再生の物語はいちいち心に刺さる感じがする。僕がいままで勤めた会社は、上場したばかりの超勢いのある会社(いまでは東証一部上場で1000名を超える従業員数になった)、入社時は10店舗もなかった小売店が店舗数を増やしながら上場して全国チェーンになった会社、業績を落とし倒産寸前まで行きそこから再生した会社(後日、大人の事情で乗っ取られた(笑))、入社時社員4名から2年ほどで10名となり売上も大きく伸ばした小さな会社などだ。本当に様々なところで仕事をさせてもらった。これらの企業は事業内容やメンバー、規模は様々だが、共通するのは僕が在籍させてもらったときにどの企業も(一時的かもしれないけども)勢いがあったり、勢いが出て売上を大きく伸ばした時期を経験した。それらの内容は社会人としてある程度の時間を費やしていればそれぞれの人が違った形でも経験しているに違いない。

企業が業績を伸ばし、事業規模が勢いよく大きくなるときはピンチもありながらも乗り越えていく。この『破天荒フェニックス』のオンデーズ再生物語は僕の経験したことのある空気感をスケールを何倍にもしてより熱く、より面白く描いている。だから面白くもあり、読んでいてオンデーズを好きになってしまう感覚すらある。

とにかく、社会人としてある程度の経験を積んだことのある人なら、人それぞれの経験がオンデーズ再生の物語どこかと重なって感情移入することになると思う。下町ロケットとか、プロジェクトXとかその辺りがストライクならもう間違いなくハマる熱い物語だ。おすすめ。

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